この記事を読めば「害獣(がいじゅう)」という言葉の正確な意味や定義、語源、そして日本で問題になっている具体的な害獣の種類や法律との関係までひとつひとつ丁寧に理解できます。
「害獣ってなんとなくわかるけど、ちゃんと説明できる?」
って聞かれると意外と詰まってしまう方、多いんじゃないでしょうか。
ニュースでは毎年のように農作物被害や民家への侵入が報道されているのに、そもそもの定義って、あんまり教えてもらう機会がないですよね。
農業従事者さんはもちろん、「最近、屋根裏で変な音がする…」と不安を感じている方や自然保護に興味がある方にも、ぜひ読んでいただきたい内容です。
害獣(がいじゅう)の意味と読み方
まず基本中の基本、「害獣」という漢字の読み方と辞書レベルでの定義から整理してみます。
読み方と基本的な意味
「害獣」は「がいじゅう」と読みます。
「害(がい)」+「獣(じゅう=けもの)」という構成で、字義的には「害をもたらす獣」というシンプルな意味です。
デジタル大辞泉(小学館)の定義によると、「人間や家畜を襲ったり農作物を荒らしたりして、害を加えるけもの」 とされています。
ちなみに対義語は「益獣(えきじゅう)」 で、人間の生活に有益な動物を指します。
古い文献でいえば中国の歴史書『魏書』の高祐伝にもこの語の使用が確認されており、けっこう歴史のある言葉なんです。
読み方:がいじゅう人間や家畜を襲ったり農作物を荒らしたりして...
「害獣」をもっと広くとらえると
より詳しく説明すると害獣とは「人間活動に害をもたらす哺乳類全般(獣=けもの)を指す言葉」 です。
ここでポイントなのは、「哺乳類」に限定されていること。
虫であれば「害虫(がいちゅう)」、鳥であれば「害鳥(がいちょう)」と区別されるため、害獣は基本的に哺乳類の動物に使う言葉です。
ただ実際の現場ではコウモリのような哺乳類でも害獣として扱われることがあり、厳密な線引きは文脈によって変わってくるみたいです。
害獣に法的な定義はあるの?
「害獣」という言葉をよく見かけるわりに実は法律に明確な定義が存在しないことを知っていましたか?
法律では「有害鳥獣」という表現が使われる
法律上に「害獣」という言葉は直接登場せず、行政の現場では主に「有害鳥獣(ゆうがいちょうじゅう)」という表現が使われます。
2014年に改正された「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」(鳥獣保護管理法)が、野生動物の捕獲・管理に関する中心的な法律で害獣についても当然この法律が適用されます。
害獣と聞くと「すぐ駆除できそう」と思いがちですが、実はそうじゃないんです。
野生動物は原則として行政の許可なく捕獲・殺傷することが禁止されています。
農地を荒らしているイノシシやシカでも勝手に捕まえたら法律違反になる可能性があるので、かなり注意が必要です。
「害獣かどうか」は人間側の都合で決まる
ここが個人的にとても面白いと感じるポイントなんですが。。
害獣という分類は生物学的な区分ではなく、人間側の視点によって決まります。
同じネズミでも、野生で農作物を食い荒らす野ネズミは「害獣」、医学実験に使われるシロネズミや、ペットのハムスターは「益獣」に近い扱いをされることがあります。
動物自身が「害をなそう」と思っているわけじゃなく、間の生活圏と野生動物の生息域が重なることで「害獣」と名付けられるわけですね。
要するに、「害獣」はその動物の性質を示す言葉というより人間と野生動物の関係性を表す言葉だと言えるかもしれません。
日本の主な害獣の種類
「害獣」と一口に言ってもその種類や被害の内容はぜんぜん違います。大きく「農地や山林に関係するもの」と「住宅に侵入するもの」に分けて整理するとわかりやすいです。
農地・山林系の害獣
農林水産省のデータによると令和5年度の野生鳥獣による全国の農作物被害は164億円にのぼっています。
被害が大きい順に見るとシカが約70億円、イノシシが約36億円、クマが約7億円となっており、特にシカの被害は年々増加傾向にあるんです。
- ニホンジカ
農作物の食害のほか、樹木の皮を剥ぐ「樹皮剥離」で森林を荒廃させる - イノシシ
田畑を掘り返す「ぬた打ち」による農地被害、人への突進事故も - ヒグマ・ツキノワグマ
農作物・養蜂への被害に加えて人身事故も引き起こす深刻な存在 - ニホンザル
群れで行動するため、被害範囲が広い
住宅・生活環境系の害獣
住宅街での害獣問題で被害件数が多いのはアライグマ・ハクビシン・イタチの3種です。
傾向として関西や中国地方ではイタチによる被害が多く、関東や東北ではハクビシンの被害が目立つみたいです。
- アライグマ
北米原産の外来種。屋根裏に侵入して断熱材を破壊したり、ペットを襲ったりすることがある - ハクビシン
果樹農家に甘い果物を好んで食べる被害を与え、屋根裏の糞尿による衛生問題も深刻 - ネズミ
家屋内での食料汚染、電線をかじることによる火災リスク、感染症の媒介 - コウモリ
一匹あたりでは害虫を食べる益獣としての一面もあるが、屋根裏での大量生息による糞尿被害が問題に
害獣と「獣害」の違いは?
ニュースでよく似た言葉として「獣害(じゅうがい)」も出てきますがこれ、似て非なる言葉なので混同しないようにしたいところです。
主体と結果の違い
「害獣」は原因となる動物そのものを指す言葉、「獣害」はその動物が引き起こした被害・結果を指す言葉です。
「アライグマ(害獣)が屋根裏に侵入した結果、断熱材が破壊された(獣害)」
という使い方が正しいんです。
ニュースで「獣害対策」と言えば、害獣による被害を防ぐ取り組み全体を指していることになります。
なんか当たり前のことのようで改めて整理すると「あ、そういうことか」ってスッキリしませんか?
害獣対策と法律の関係
被害に遭っているからといって自分で勝手に捕まえてはいけないという話、かなり重要なポイントです。
鳥獣保護管理法が絡んでくる
行政の許可なく野生動物を捕獲・殺傷することは鳥獣保護管理法で禁止されています。
在来種のタヌキを捕獲した場合、行政から「逃がすように」と指示されることがあります。
一方で特定外来生物に指定されているアライグマは逃がすことが禁止されており、自分で駆除するか、許可を持つ専門業者か行政に引き渡すしかないんです。
ちょっとした違いで法律違反になりかねないので正直ここはかなり注意が必要だと感じます。
まずできることから始める
専門業者への依頼や行政への申請が必要な「捕獲」に比べて、追い出し・侵入防止対策は許可不要で始められるものが多いです。
忌避剤の設置、防獣ネットや電気柵の設置、エサになるゴミの管理などが代表的な方法ですが、ただし追い払いの効果は一時的で、安全だと判断したら害獣は戻ってきてしまいます。
根本的な解決には侵入経路の封鎖が不可欠です。
まとめ
- 害獣(がいじゅう)とは人間や家畜を襲ったり農作物を荒らしたりして害をもたらす哺乳類のこと
- 読み方は「がいじゅう」、対義語は「益獣(えきじゅう)」
- 法律上の明確な定義はなく、行政の判断により「有害鳥獣」として扱われる
- 令和5年度の農作物被害は全国で164億円にのぼり、シカ・イノシシ・クマが上位
- 代表的な害獣は農村部ではシカ・イノシシ・クマ、住宅街ではアライグマ・ハクビシン・ネズミなど
- 「害獣」はその動物自体を指し、「獣害」は被害・結果を指す
- 野生動物の無断捕獲は鳥獣保護管理法違反になる可能性があるのでまずは専門業者か自治体に相談を
もし
「屋根裏に何かいる気がする…」
「庭の野菜が荒らされている」
といった状況なら、まずは自治体の農林担当窓口や害獣駆除の専門業者へ相談するのが一番安全で確実な方法です。
コメント