この記事を読めば日本に生息するイタチの在来種、外来種の違い、見分け方、そして日本固有のニホンイタチがなぜ今危機に瀕しているのかがまるごとわかります。
「庭でイタチみたいな動物を見た」
「屋根裏に何か住み着いてる気がする」
そう感じている方、案外多いんじゃないでしょうか。
でも実、あなたが目撃したのが在来種なのか外来種なのかによって、話がまるで変わってくるんです。
日本には2種類のイタチが生息していて、どちらかによって法律上の扱いも、生態への影響もまったく異なります。
そもそも日本のイタチは2種類いる
日本に生息するイタチとして代表的なのは「ニホンイタチ」と「チョウセンイタチ(シベリアイタチ)」の2種類です。
ただ、この2種はよく混同されていてそこがこの問題のやっかいなところでもあります。
名前も似ているし、見た目もわりと似ているので専門家でもないと現地で即判断するのはなかなか難しい。
ニホンイタチは日本固有の在来種
日本の在来種であるニホンイタチは古くから本州・四国・九州に自然分布してきた日本固有種です。
学名はMustela itatsiで英名は「Japanese Weasel」。
DNAレベルの研究によってチョウセンイタチとは明確に別種であることが確認されています。
体のサイズと見た目
体長はオスで約30〜40cm、メスで約16〜25cmと、オスとメスで体格差がかなりある動物です。
体色は茶褐色〜暗褐色で尻尾の長さが体長の40%以下と短めなのが特徴。口のまわりが白く、目の周辺に灰色の毛が見られます。
生息環境としては川や湖沼などの水辺を特に好む傾向があります。
昼夜を問わずに活動するのもニホンイタチの特徴で、チョウセンイタチが夜行性に近いのとは少し違いますね。
ニホンイタチの現在の分布と危機的な状況
ニホンイタチはIUCNのレッドリストで準絶滅危惧種(NT)に指定されています。
2016年にランクが「軽度懸念」から引き上げられたのですが、理由は「3世代で約25%近い個体数の減少が推測される」というものでした。
地域別に見ると深刻さが伝わってきます。
神奈川県・東京都(区部・北多摩)・広島県・山口県・福岡県・熊本県・大分県など西日本を中心に複数の都道府県でレッドリストに登録されています。
大阪府では絶滅危惧Ⅱ類(VU)というかなり厳しい状況です。
チョウセンイタチは外来種として広がる存在
チョウセンイタチ(別名:シベリアイタチ、タイリクイタチ)は元々はユーラシア大陸東部、シベリアや中国・朝鮮半島に生息する動物です。
日本では対馬だけが自然分布地域でそれ以外の本州での個体はすべて外来種という扱いになります。
どうやって日本に入り込んだのか
チョウセンイタチが日本本土へ入ってきた経路は主に2つとされています。
- 1930年代
兵庫県に毛皮用として持ち込まれた個体が逃げ出して野生化 - 1945年前後
朝鮮半島から船に紛れ込んだ個体が北九州に侵入
ネズミ駆除目的で積極的に持ち込まれたケースもあってそこから繁殖力の強さもあいまってどんどん数を増やしていったみたいです。
チョウセンイタチの体の特徴
体長はオスで約35〜45cm、メスで約30〜40cmとニホンイタチよりも一回り以上大きい動物です。
体重に至っては、チョウセンイタチのオスが650〜850gなのに対し、ニホンイタチのオスは350〜400g程度と、実に2倍近い差があります。
体色は黄褐色で「山吹色っぽい」と表現されることもあります。
尻尾が長く、体長の50%以上を占めるのがわかりやすい識別ポイントです。
また、森林や畑、水田や市街地などとにかく幅広い環境に適応できるのがチョウセンイタチの強みでもあります。
「日本の侵略的外来種ワースト100」に選出
チョウセンイタチは日本生態学会が定めた「日本の侵略的外来種ワースト100」に選ばれています。
西日本を中心に福井県や岐阜県、愛知県以西の地域(沖縄を除く)に広く分布しています。
在来種か外来種か一目でわかる見分け方
「じゃあ実際に目の前にいるイタチがどっちか、どうやって見分けるの?」ってなりますよね。
一番わかりやすいのは尻尾の長さです。
胴体の半分よりも短ければニホンイタチ(在来種)、長ければチョウセンイタチ(外来種)と判断できます。
これがもっとも確実な見分け方と言われています。
特徴の比較
| 特徴 | ニホンイタチ(在来種) | チョウセンイタチ(外来種) |
|---|---|---|
| 体長(オス) | 約30〜40cm | 約35〜45cm |
| 体重(オス) | 約350〜400g | 約650〜850g |
| 尻尾 | 体長の40%以下(短い) | 体長の50%以上(長い) |
| 体色 | 茶褐色〜暗褐色 | 黄褐色(山吹色っぽい) |
| 主な生息地 | 水辺・山間部 | 幅広い環境(市街地も) |
| 活動時間 | 昼夜問わず | 夜行性の傾向が強い |
体の大きさだけで判断しない方が良い理由
体格差はあるものの、個体差も大きいので「大きいからチョウセン」とは必ずしも言い切れない部分もあります。
肌感で言うと尻尾の長さと体色の組み合わせで判断するのが現実的かなと思います。
実際に見分けるときは2つ以上の特徴を照らし合わせるのがよさそうです。
在来種が追いやられている構図
個人的にこれが一番「知ってほしい」と思うことなんですが今の西日本の平野部ではニホンイタチがほとんどいなくなっている地域が多いんです。
チョウセンイタチはニホンイタチよりも体が大きく力も強いため、すみかや食べ物をめぐる競争で在来種を追い出してしまいます。
加えて、都市開発による水辺の減少もニホンイタチにとってはダブルパンチで、平野部ではチョウセンイタチに圧倒されたニホンイタチが山間部に追い込まれている状況です。
都市部で見かけるイタチはほぼチョウセンイタチだと思っていい。というのが現実だったりします。
「在来種なのに外来種」という複雑な事情
ここでちょっとおもしろい話があって実はニホンイタチ自身も場所によっては外来種扱いになることがあります。
本来は本州や四国、九州が分布域のニホンイタチですが、かつてネズミ駆除の目的で伊豆諸島の八丈島などに人為的に持ち込まれた経緯があります。
そういった地域では日本固有種であっても「国内外来種」として扱われるんです。
沖縄県ではニホンイタチが導入された島で在来の動物の個体数が減少・絶滅した可能性があると言われていて、重点対策外来種に指定されています。
つまり、在来種か外来種かは「日本全体で見るか、その土地の生態系で見るか」によって変わってくる、ということですね。
対馬のチョウセンイタチという逆のケース
逆に面白いのが対馬です。
対馬ではチョウセンイタチが在来種として自然分布していますが、そのチョウセンイタチが2020年3月に絶滅危惧種に指定されています。
外来種として本土で猛威をふるっている動物が自然分布地では絶滅の危機にある。なんとも複雑な話です。
まとめ
- 日本に生息するイタチは主に2種類でニホンイタチ(在来種)とチョウセンイタチ・シベリアイタチ(外来種)に分けられる
- チョウセンイタチは1930〜40年代に毛皮産業や船への混入を経て日本に定着した外来種で、「日本の侵略的外来種ワースト100」に選出されている
- 見分け方のポイントは尻尾の長さ(体長の半分より短ければニホンイタチ、長ければチョウセンイタチ)と体色(茶褐色ならニホンイタチ、山吹色っぽければチョウセンイタチ)
- ニホンイタチはIUCNの準絶滅危惧種(NT)に指定されており、西日本の都市部ではほとんど姿を消している
- 在来種・外来種の判断は「その土地の生態系」が基準になるため、ニホンイタチ自身が沖縄などでは外来種扱いになる場合もある
「在来種か外来種か」という問いは単純な分類の話だけじゃなく、日本の生態系の現状とも深く結びついているんだなと改めて感じます。
目の前のイタチをちょっとじっくり観察して、尻尾の長さをチェックしてみてください。
意外と違いに気づけるかもしれません🐾

コメント