この記事を読めばハクビシン対策として金網や防獣ネット、電気柵の何をどう使えばいいか、失敗しない選択肢と組み合わせ方が具体的にわかります。
「ホームセンターでネットを買ってきて張ったのに、翌朝には突破されていた」
そんな経験、ありませんか。
ハクビシンは約8cmの隙間さえあれば通り抜けられるうえ、木登り・綱渡りが得意というかなり厄介な相手なんです。
ハクビシンを金網だけで防ぐのは難しい
農作物の場合、ワイヤーメッシュ柵(金網フェンス)だけではハクビシンの農地侵入を防げません。
理由はシンプルでハクビシンは登ることが得意だから。
とはいえ、金網にまったく出番がないわけでもなく使う場所によっては頼もしい存在になります。
金網の目合いと線径の選び方
中型動物であるハクビシンに対しては目合い7.5cm四方以下のワイヤーメッシュが必要です。
ただ、農林水産省の推奨やいくつかの自治体資料では家屋侵入の封鎖用には2cm目合いの亀甲金網(六角形の網)が特に推奨されています。
ハクビシンは金網をかじる力も持っているので線径が細いものだとかみ切られてしまうケースがあります。
線径が太めのもの(できれば1.6mm以上)を選ぶのが無難でしょう。
また、目合いの形は正方形のほうが防除効果が高いとされています。
長方形型は一辺が長くなるぶん、動物が口を入れやすく力をかけたときに変形しやすいという特性があるんです。
金網が本当に活躍する場所
農作物の囲いより家屋への侵入経路を塞ぐ用途に向いています。
- 換気口や床下の通気口の目張り
- 屋根の隙間や軒下の穴の封鎖
- 雨どいまわりの細かい隙間をふさぐ
要するに
「侵入口が明確で動き回る必要のない箇所」
では金網がベストです。
湿気対策のために意図的に開けた通気口を完全に塞ぐわけにはいかない、そんな場合でも金網を被せる形で対処できます。
防獣ネットだけでは突破されやすい
「防獣ネットを張ったから大丈夫」
と思いがちですが、愛知県の農業改良普及資料にはっきり書いてあります。
「ネットで囲んだだけでは駄目。ネットだけで防ぐ場合は隙間を完全になくすこと」と。
これ、けっこう見落とされがちな事実だなと感じます。
ネット素材と目合いの選び方
ハクビシンはネットをかじって穴を開けたり、ネットをよじ登って侵入したりします。
そのため、ステンレス線入りの防獣ネットが噛み切り対策として優れています。
通常のポリエチレンネットは軽くて扱いやすいぶん、噛み切られるリスクがあるのでちょっとコストはかかりますが、ステンレス複合素材のほうが長期的には安心でしょう。
ハクビシンの侵入行動には一定のパターンがあって最初にネットの地際を探し、次にかじって穴を開け、それでもダメなら登るという順序だそうです。
ということは、地面との接触部分を固定して隙間なく押さえることが最優先の作業になります。
ネット設置で「絶対にやってはいけないこと」
ネットの下端が地面から浮いているとそこをくぐって入られます。
石や土でしっかりと固定する、あるいは地中に数センチ埋め込む形が理想的です。
また、ネットに弛みがあると張力を使って「こじ開け」ることも起きるので、ピンと張った状態を維持できるかどうかが設置品質のポイントになります。
農水省が「ほぼ唯一の有効策」と言う電気柵
農林水産省の中型獣類対策マニュアルに、こんな記述があります。
「樹上活動性に富むハクビシンやアライグマなどは、ネット柵や金網柵で防ぐことができないため、これらの動物に効果のあるほぼ唯一の侵入防止技術である」
これ、電気柵の話です。意外と知らない人が多いんですよね。
電気柵の仕組みは「心理柵」とも呼ばれます。
動物が一度電気ショックを受けるとその場所を「怖い」と学習して近寄らなくなる、という行動学的な効果を利用しています。
ハクビシン用の正しい設置段数と高さ
ここが一番重要です。
設置方法を間違えると、ほぼ効果がなくなります。
電気柵の段数は3〜4段、最下段の高さは地上5cm以内が基本です。
地面から5cmというのはかなり低く感じますがハクビシンの鼻面のサイズが6cmなので、地面すれすれに張ることで最初に鼻が触れる状態を作り出す狙いがあります。農林水産省の推奨設置は以下のとおりです。
- 1段目
地上5cm - 2段目
地上10cm - 3段目
地上20cm - 4段目
地上30cm
設置高さの合計で35cm程度になるイメージでしょう。
電圧が3,500V未満だと意味がない
電気柵の柵線電圧は3,500V以上がないと動物がショックを感じません。
農研機構の調査では、際に設置されている電気柵の中で適正電圧(4kV)を下回っているものが相当数あったと報告されています。
原因のほとんどが草が伸びて柵線に触れた漏電です。
電圧計でこまめにチェックする習慣がないとせっかく設置しても「効いていない柵」になってしまうケースが現実に起きています。
草管理は地味に大変な作業ですが、防草シートを柵線直下に敷く方法がかなり有効です。
最強の組み合わせは電気柵+防獣ネット
農地を守るうえで最も効果が高いのは電気柵と防獣ネットを組み合わせた「ネット併用電気柵」です。
埼玉県農林総合研究センターが開発した「白落くん」という方式がその代表例で、ハクビシンの「登る」習性をあえて利用した仕組みになっています。
ネット併用電気柵(白落くん方式)の仕組み
ハクビシンは電気柵線を「くぐり抜けよう」とは考えず、まずネットを探して登ろうとします。そこでネットを登らせた先に電気柵線を配置することで必ず感電させるという流れを作ります。
具体的な構造はこうなっています。
- 下部40〜50cm幅の防風ネット(絶縁体)を張る
- ネットの上部から5cm間隔で通電線を2段張る
- ネットと通電線の間を結束バンドで接続する
- ネット下部はくいで地面に固定する
ハクビシンがネットを登るとネット上部で電気に触れる。感電した後は「あそこは怖い」と学習して二度と来なくなる。理にかなった設計だなと思いますね。
電気柵とネットの設置における費用感
電気柵は他の柵と比べてコストを抑えやすい方法でもあります。
自治体によっては電気柵購入費用の一部を補助する制度もあるので、設置前に居住地の農林整備課や農業委員会に確認してみる価値は十分あります。
家屋侵入対策は金網が必要
農地ではなく家屋のハクビシン対策は少し話が変わります。
屋根裏や床下に住み着いた個体を追い出した後、再侵入されないように侵入口を封鎖する作業が必要でこのフェーズで金網が活躍します。
家屋封鎖に使う金網の選び方と注意点
ハクビシンは約8cmの隙間があれば通り抜けられるので目合いは2cm以下の亀甲金網が推奨です。
侵入口を封鎖する際は金網の端が鋭くなっていないか確認することと、ネジや専用のクランプでしっかり固定することが大切です。
テープや結束バンドだけだと力をかけられた時に外れることがあります。
侵入経路は思っているより多い場合がほとんどで1ヶ所だけ塞いでも他の隙間から入られることがあります。
プロの業者が対応する場合でもパンチングメタルや金網を組み合わせながら複数箇所を同時封鎖する施工を行うのが基本です。
まとめ
- 金網(ワイヤーメッシュ・亀甲金網)は農地の柵として単独使用は不向き。目合い2cm以下のものを家屋の侵入口封鎖に使うのが正解
- 防獣ネットは隙間を完全にゼロにしなければ突破される。単独使用は難しく、電気柵との併用が前提
- 電気柵は農水省が「ほぼ唯一の有効策」と認める方法。最下段を地上5cm以内に設置して電圧3,500V以上を維持することが不可欠
- 最強の組み合わせは電気柵+防獣ネットの「ネット併用電気柵」。ハクビシンの「登る」習性を逆手に取って感電させる方式が最も効果的
どれか1つに頼るのではなくハクビシンの行動パターンと設置場所(農地か家屋か)に合わせて組み合わせることが、対策を成功させるカギです。
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